晴れのち雨ときどき曇り
2.気になる雨
その子は独りで居た。
灰色の世界に独りで。
雨が降っている。
小雨だ。
雨が降っている筈なのに、その子の服は濡れていない。
それは天川晴子と言うクラスメイトだった。
いつも、教室の中で、薄いバリアを張っている子。
それが、その子のイメージだった。
文学少女の典型みたいな容姿なのに、何処か辛辣な面がある。
きっと、目元が涼やかなのがそういった印象を生むのだろう。
あの、いつもの俯き顔で、佇んでいたその子は、何だかとても…。