晴れのち雨ときどき曇り

「……何つぅ夢かな」

俺は、頭をガリガリと掻いて目覚ましを見る。

俺は慌てて布団から飛び起きた。

(夢、か。)

妙に現実的だった。


(あの子は、物凄く驚いてたな…。)


(何だ、そんな顔も出来るんじゃん…。)


いつも無表情だから。

(あの顔に表情が乗ると、ああいう風になるのか。)

 俺はぼんやりと思いながら、登校した。



 俺は、放課後、図書室に入ろうとした晴子ちゃんを捕まえた。


「雨谷君が図書室に用なんてあるの?」なんて言われたけど、彼女の言葉に本当の棘なんてない気がした。


 あるとすれば、柔らかい棘だと思う。


 何かを守りたいような、柔らかい棘。

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