晴れのち雨ときどき曇り
確かに私は本が好きだ。

だから図書委員にもなったんだけれど。

転校してきて良かったのは、今の中学の方が図書室が広くて整理されてる事。

此処の付属高校には、もっと大きな図書室があるのかと思うと、今から嬉しくなる。

私は、放課後の図書室の雰囲気も気に入っている。

「夢の診断できる本ってある?」

私は内心かなり驚いていた。

手に握っていた図書室の鍵を落としてしまうところだった。

「……それなら、人文の棚にあるから。……ちょっと待ってて」

私は平静を装って鍵を開け、ドア近くの電灯のスイッチをオンにした。

「図書室なんて来ないから、よく分かんないんだけど……」

その言葉尻は私を苛立たせたけれど、ここで追い出すのも癪なので本の所在を丁寧に説明した。

「結構あるんだ」

「……年に何回か本の購入希望を出せるの。その本、私が頼んだやつ」

彼は私に背を向けてながら「へぇ……」とだけ呟いて本を捲る。

「座って読んだら?」

私は何の気なしに言った。

雨谷空は振り返って太陽みたいに笑うと、幾分か大きな音を立てて椅子を引いた。
< 3 / 121 >

この作品をシェア

pagetop