晴れのち雨ときどき曇り


(まるで、誰かを待ってるみたいだ。)


 曇りの空の色。

 地平線さえ、灰色だった。

 色もないモノクロの世界。

 彼女に降る雨。


 そんな彼女の手元にブルーの傘が握られてるのに気付いたのは、俺がもう少し前に進んだ時だった。
 
 その、折り畳み式の普通の傘は俺が学校で彼女に手渡したものだった。




 俺は、居ても立っても居られなくなって、彼女の名前を呼んだ。

 いつも、心の中で呼んで居る方の名前だ。

 彼女は、あからさまに嫌な顔をした。


(やっばり、いきなり名前で呼んだのが不味かったか……。)


(でも、夢だし……。)


 彼女は、どう呼ぼうか構わないと言った。

 だから、俺は、晴子ちゃんと呼ぶことにした。
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