晴れのち雨ときどき曇り
「晴子」と言う名前を、俺は気に入っていた。
雨男に、雨谷。
雨につきまとわれている俺に、晴れなんて縁起がいい。
彼女は、傘を持っているのに差していなかった。
理由を聞くと、面倒だからだと言った。
それが、何だか彼女らしいと思う。
だだ、濡れないからと言う回答には疑問を感じた。
彼女の黒くて長い髪は、たっぷりと水を吸っていた。
そのことに、彼女は気付いていないようだった。
俺の髪も同じく濡れている。
(そうだ。)
俺は、思い出した。
(雨宿りをしよう。)
(彼女なら、分かる筈だ。)
雨宿りの夢が何を示すか。