晴れのち雨ときどき曇り

 彼女の夢は、いつも雨が降っていると言う。

 濡れもしないし、害もない。

 ただ、雨が降るだけと彼女は説明してくれた。

 彼女は穏やかに続ける。

 落ち着いた声。

 それは、ひどく俺を落ち着かせた。

 俺は、座ったまま膝に肘をついている。

 夢の中の彼女は、学校の彼女と、少し違う。

 雰囲気も、

 表情も、

 仕草も。

 俺の知ってる天川晴子であって、そうじゃない。

 でも、俺は、どちらの彼女でも構わなかった。

 本質が、同じだと思うからだ。

 朝を迎えるのが惜しいと、思った。
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