晴れのち雨ときどき曇り

 俺は、残念に思いながら本に目を戻した。

 窓の外からザァ…っという音が聞こえる。

「…またぁ?」

「えーと、晴子ちゃん。傘、使う?」

 彼女が、傘に手を置いた、丁度その時に見知った人物が図書室のドアの前に立っていた。

「空、何でこんなトコに居んの?」

 そう言われて、俺は、一瞬だけ考えてしまう。


(何で?)


(そんなの、よく分からない。)


 俺は適当に答えてしまっていた。

 その子は不機嫌そうだった。

「それより、雨降ってんじゃん。空、傘持ってるでしょ?貸してくんない?」

 その子は、俺と彼女の間にあった傘を見付けて、そう言った。

 俺はなるべく当たり障りなく断ろうとしたが、全て言い終わらない内に傘をとってしまう。


「…あの、もう図書室閉めるので」

 静かに沈黙を破ったのは、彼女だった。

 呆れられたのかもしれない。

 職員室に起き傘があるからと、俺は半ば強制的に追い出されてしまった。
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