晴れのち雨ときどき曇り
遠くで聞こえる部活の音も窓から差し込む夕焼けも、私は好きだった。
ただ、今日は少し違う。
夢に似た灰色の空。
「……嘘。今日は降水確率5%だった筈じゃ……」
私は図書室に居る人物に目を移す。
「あ、またかぁ……」
彼は窓枠から手を伸ばして、空気を探っていた。
その距離が意外に近くて、私は思わず身を離す。
「傘、持って無いでしょ」
「無い……」
どうしよう。
今日は何冊か借りていこうと思っていたのに。
「まだ、此処に居る?」
「図書室閉めるまでは……」
「じゃあ、待ってて!」
彼は、読みかけの本を放り出して図書室から出ていった。