晴れのち雨ときどき曇り

遠くで聞こえる部活の音も窓から差し込む夕焼けも、私は好きだった。

ただ、今日は少し違う。

夢に似た灰色の空。

「……嘘。今日は降水確率5%だった筈じゃ……」

私は図書室に居る人物に目を移す。

「あ、またかぁ……」

彼は窓枠から手を伸ばして、空気を探っていた。

その距離が意外に近くて、私は思わず身を離す。

「傘、持って無いでしょ」

「無い……」

どうしよう。

今日は何冊か借りていこうと思っていたのに。

「まだ、此処に居る?」

「図書室閉めるまでは……」

「じゃあ、待ってて!」

彼は、読みかけの本を放り出して図書室から出ていった。



< 4 / 121 >

この作品をシェア

pagetop