晴れのち雨ときどき曇り

　俺は、傘だけを渡して、女の子を撒いた。

　仲良くしてくれる女の子は居るけれど、何だかとても疲れる。

　彼女は、職員室で傘を借りられただろうか。

　こんな日の置き傘は貴重だし、もう誰かが借りているだろう。

　とは言え、俺も予備の傘は持って来てなかった。

　彼女が、律儀に返してくれると見込んだからだ。

　雨足が弱まるまで、残っていればいいか。

　俺は、玄関の近くの靴箱の棚の上に座る。


　少し経って、俺は、自分のクラスの靴置き場の棚に怪しい物体を見つけた。

（何だアレ……？）

　真っ黄色のカッパ。

　背中には赤い太字で「防災」とプリントされてある。



「…防災？」

　俺は靴箱の棚から降りて、呟く。

　その靴箱のラベルには「天川」と書かれてある。


「それ、晴子ちゃんの？」