晴れのち雨ときどき曇り

「何か俺、雨って落ち着くんだよね」

 何と無く話題にも困っていたので、俺は、今考えている事を言ってみた。

雨の音は落ち着く。

「…それは、分かる気がする」

 彼女は、前を見たままで言う。

 どうやら、俺の話は聞いてくれているようだった。


「…それにしても、そのカッパ…凄いね」

 俺は、安心して、つい口を滑らす。

 彼女が、閉口してしまうかもしれない。

 俺はフォローの言葉を探す。

「見せられた時に吹き出しそうになった…」

 俺が考えあぐねていると、彼女はふっと口元だけ笑って言った。

 俺は、どんどん嬉しくなってしまって、調子に乗ってしまう。

 悪い癖だと分かっていても、止められないのだ。

「うん。しかも黄色に赤なんてオムライスかって言う…」

 彼女は笑い声を口の中で味わうようにして、思いもよらない事を言った。

 黄色に赤色のカッパは、オムライスのようだと。

 雨の中のオムライス。

 それと、そのオムライスカッパを着ている彼女。


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