晴れのち雨ときどき曇り
 それから俺は、彼女が夢で待っている気がして、寝るときは必ず彼女を思い浮かべた。

 この方法で、前も会えたから。

 そうすると、必ず彼女の夢を見た。

 いや、彼女の居る彼女の夢に行けたと言った方がいいのだろうか。

 遊園地にも行った。


(お化け屋敷で、お化けの種類を冷静に分析する晴子ちゃんとか……今思い出しても笑っちゃうな……。)


 水族館では、ひとつひとつの水槽の前にある説明書きまで丁寧に読んでいた。

 真面目と言うか、手抜きしないと言うか。

 前々から思っていた。

 どうやら彼女は、無器用で要領が悪い。

 それに本人は気付いていないみたいだった。

 ただ、夢の中では、彼女を包む、あの柔らかい棘が幾分か少ないように感じられた。



 何処行きたいか聞くと、何処でもいいと言う。

 夢の中の彼女は、学校での彼女と少し違っていた。


(夢の中だから。)


 そう言ってしまうと、それまでなのだが。

 素直、とまではいかないまでも…その取り巻く空気は、暖かい雨みたいな心地好い柔らかさを含んでいた。
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