晴れのち雨ときどき曇り

 その日の雨は、粒の大きいものだった。

 傘が重い。

 帰り道で雨谷と別れた晴子は、商店街を歩いていた。

 今日はノートを買う予定だ。

 晴子は商店街の通りにある文房具屋に入る。

 その文房具屋は、小さいながらも目新しいシャープペンや雑貨がいつも並んでいた。

 晴子の文房具は機能重視のものばかりだった。

 しかし、誘惑は多い。

 キラキラと乱反射のする小さなビー玉が乗っているノック式シャープペン。

 可愛いマスコットを型どった消しゴム。

 キャラクターものの小物。

 どれも、手が届かない値段ではない。

 文房具の部類なので、学校にも持っていけるし、身に付けて眺めることも出来る。

 ただ、晴子は、キーホルダーでペンケースが開け難くなるのも嫌だったし、書く度に揺れるシャープペンの飾りも好きになれなかった。

 それが、どんなに可愛いくてもだ。

 晴子は質素なノートを二冊だけ手に取った。

 レジに行く途中には、新入荷の文房具が置いてあるコーナーがある。

 このコーナーでいつも足止めを食らうと分かっていても、見るのは無料だ。

 晴子は、そう言い聞かせてレジに向かう直線のコースから外れた。

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