晴れのち雨ときどき曇り

「晴子ちゃんは食べ物だったら何が好き?」

 相変わらず、雨谷と晴子は他愛もない会話をしていた。

「…最近は、あんみつ」

「あんみつってさ…あの、ほら…餅みたいのが」

「苦手なんだ?求肥(ぎゅうひ)だよ、多分」

「…うん。でも、餡こはスキ」

「雨谷君は?」

「俺は…ラーメン、とか」

「因みに味は?」

「塩」

「……何か、意外」

 二人とも、そぼ降る雨を見上げながら話している。

「意外って…俺はどんなイメージだったのさ…」

 雨谷は、顔を少しだけしかめて見せた。

「…トンコツ…とか」

「何で…」

 雨谷は、こういう晴子の微妙な間を気に入っていた。

 それからも、取り留めない会話は続いた。

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