晴れのち雨ときどき曇り


「うわ。今日は土砂降りだー…」


 晴子がふと横を見ると、そこには雨谷が居た。

「夢まで降るなんて…しかも図書室って…晴子ちゃん、もしかして俺と遊びに行きたくないの?」

 雨谷は、冗談混じりに言う。

 そして、嘘っぽく拗ねるみたく笑った。

(そんなことない。)

 晴子は、その言葉を飲み込んだ。

「…晴れたら、いいね」

 晴子はぽつりと言った。

 夢のことを言っているのか、現実のことを指していたのかは明確に分からない。

「うん」

 何と無く、主語をはっきりさせないまま、雨谷は頷いた。


 そして、晴子の方を見て、もう一度だけ「うん」と静かに頷いた。


< 65 / 121 >

この作品をシェア

pagetop