晴れのち雨ときどき曇り

「…そっか」

 晴子は空を見上げた。

 広くて、高い空。

「晴れたらいいね?」

 手摺に手を置きながら、雨谷は聞いた。

「うん」

 雨谷は晴子の横顔を見ていた。

 何か話す気配もない。

 ただ、晴子が「うん」と口の中で言葉を転がすのを見ていた。



「何処に行こうか?」

 夢の中で、二人はてるてる坊主のお化けみたいな物体の上に座りながら話している。

「…雨が降っても大丈夫な所かなぁ…」

 晴子は、ぼんやりと返した。

「ヒドイ…」

「だって、どうせ行くなら雨降って中止なんて嫌じゃない?」

「そう、だよね」

 雨谷は急に元気になって見せた。

「水族館とかはどう?」

「いいね。…涼しそうだし。静かだと良いけど」

「じゃあ、決まり!」
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