晴れのち雨ときどき曇り
《六日目》

 雨谷は、呆然とした。

(嘘……)

 起きた時、カーテンの向こうから聞きたくない様な水音が聞こえたからだ。

 雨谷は、そのまま布団を被って寝てしまいたかった。

 しかし、母親がそれを許してくれなかったので、憂鬱な気持ちで学校に登校した。


「空、何かあった?」

 朝から机に突っ伏している雨谷に同じクラスの品川悠子(しながわゆうこ)が声を掛けてきた。

「……はぁあ…」

 雨谷は自分の無力さを恨んでいた。

 やはり、自分は雨男で。

 何かを成し遂げようとか、行動しようと思うと直ぐに雨が降る仕組みなのだ。

 雨谷は「何でもない」とだけ言って顔を下げる。

「…具合、悪いの?」

 落ち着いたトーンの声。

 雨谷はガバッと起きる。

「悪くないの?」

 声の主は、晴子だった。

 教室で直接こんな風に声を掛けられるのは初めてだった。

 雨谷は「大丈夫?」と聞く晴子の語尾に括弧つきの「(…主に頭が)」と言う続きを見てしまう。

 品川悠子は雨谷と晴子の独特の雰囲気が気に入らなかったのか、直ぐに席に戻って行った。
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