晴れのち雨ときどき曇り

 雨谷は、躊躇いがちに言う。

『晴子ちゃんは来ちゃ駄目だよ。危ないから…風も凄いし』

「何言ってるの?早く帰りなよ!」

 晴子は、いやに落ち着いてみせる雨谷が心配になった。


『放課後までに晴れたら、一緒に水族館行こうね』


 晴子が反論する前に、その電話は切れた。


 晴子は壊れても大丈夫そうな傘を何本か持つ。

 そして、いつかの防災カッパを着込んだ。

 それは、返そうとしたが、そのまま担任の先生がくれたカッパだった。

 あの、黄色いオムライスみたいなカッパ。


(授業が前提として存在しなければ、放課後なんて無いのに……!!)


 晴子は、心の中で悪態を吐きながら家を出た。
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