晴れのち雨ときどき曇り
「…何か、ムカつく」
雨谷があまりに楽天的に笑うので、晴子は不機嫌を装った。
「え、あ。…ゴメン」
しゅん、と効果音が聞こえるような萎み方だった。
「万が一のことがあって化けて出られたら困るし」
「勝手に殺さないで…」
「だって、危ないんだよ!?風で窓が割れたらどうするの?」
晴子はタオルで髪を拭きながら、ぶつぶつと文句を言う。
「ごめんなさい…」
晴子よりも背が大きな筈なのに晴子より小さく身を縮ませる様に言った。
「あ、でも、あれは撤回しないでね?」
「…あれって?」
「先刻の」
晴子は、門の前での自分の言動を思い出して、急に恥ずかしくなった。
「…あぁ、うん」
晴子は、気の無いような返事をして顔を反らした。