晴れのち雨ときどき曇り

 それから、どのくらい時間が経っただろう。

 二人は、少しだけ会話をした。

 此処まで来る途中、商店街にある角の店の看板が飛んでいた、とか。

 朝の雨谷の電話は、母親の携帯電話を借りてきたものだった、とか。


 本来なら、もう給食の時間だった。

 二人は受付カウンターの下の方に居た。

 図書室の受付カウンターの裏には、図書委員のアイテムが沢山揃っていた。

 それは、晴子だけの空間だった。

 でも、今は二人の空間でもあった。

 晴子は壁にもたれかかりながら眠気と戦っていた。


 晴子が丁度、欠伸を噛み殺したと同じタイミングで、雨谷が窓の方を向いて立ち上がった。


 雨谷は窓の近くに駆け寄った。


「…だから、窓の近くは危ないって…!」


 晴子は、雨谷を制止しようとする。


「だって、晴子ちゃん!見て!」


 雨谷が指す方向を、晴子は見た。
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