晴れのち雨ときどき曇り
窓の外。
空に広がる青色。
その空は、まるで、雨谷が貸してくれた傘を広げたようなクリアブルーだった。
目が覚めるような、青空。
真っ白い薄雲の隙間から、太陽の日差しが何本も降りてくる。
空の奥には、晴子の夢を彩った色の虹が掛っていた。
(出来すぎている。)
晴子は、ふとそう思った。
でも、それも悪くないと思った。
二人は、言葉が見付からないまま晴れ上がった空を見上げていた。
「…私、水族館は大きい方が良いなぁ」
晴子は、おそらく、今までこんなに晴れやかな気分になったのは初めてだっただろう。
「じゃあ、待ち合わせは駅前だ」
二人は、お互い顔を見合わせて笑った。
何時に待ち合わせをするかと雨谷が聞いた時、けたたましい携帯電話の着信音が響いた。
携帯電話からは、耳を離しても聞こえるような大音量の怒鳴り声が聞こえた。
二人は表情だけで微妙に笑って見せる。
そして、晴れた空の下を一緒に帰った。
そして、晴子は、久しぶりに母親に大目玉を食らった。
でも、「ごめんなさい」と困ったみたいに少しだけ微笑む晴子を見て、母親は笑って許してくれた。