晴れのち雨ときどき曇り
エピローグ
その夜。
二人はまた夢の中。
「慣れないことは、するもんじゃないね…」
雨谷は、今までの夢で一番の土砂降りを市立図書館の窓から眺めている。
今日は図書館に居るらしかった。
「現実であんな晴れ方したからじゃない?」
「やっぱり、俺って雨男なのか…」
雨谷は、項垂れた。
「ねぇ、土砂降りは、悪いことの前兆だって。知ってた?」
晴子は本を読みながら雨谷に言う。
「…そうでもないよ」
雨谷は、頬杖をついたままで晴子を見た。
「晴子ちゃんと居るんだよ。悪い夢なわけないじゃん」
雨谷はそういって、土砂降りでも晴れそうな笑顔を晴子に向けた。
「そっか…」
晴子は、口元だけはにかんだ笑みを浮かべた。
その仕草が、とても穏やかで、雨谷は思わず嬉しくなってしまった。
晴子は、とりあえず土曜の日の雨を見込んで、起きたらてるてる坊主を作ろうと思った。