晴れのち雨ときどき曇り
「あのさ、晴子ちゃん、もし土曜日が晴れだったら…あのね。…聞いて欲しいことがあるんだけど」
「うん?」
「もし晴れたら…」
雨谷は言葉に詰まる。
今の気持ちを何と表現しよう。
そわそわして落ち着かない、この気持ち。
言いたくて、言えない。
もう、喉の奥にはその言葉があるのに。
「じゃあ、雨が降ったら、私の話を聞いてくれる?」
下唇を軽く噛みながら、照れたようにして晴子は微笑った。
雨谷は、ついていた頬杖を派手にガクンと落として「うん」と元気よく答えた。
雨が降るか降らないか。
確率は二分の一。
でも、その確率は今の二人には関係なかった。
なぜなら、全ては天気次第で、二人次第だからだ。
【FIN】