晴れのち雨ときどき曇り
「海亀の裏側とか…見たくなりません?」
(よく分からない…。)
(海亀の裏側…?)
(そんなの見たことがない。)
(あぁ、見たことがないから見たいのだろうか。)
「…見たい、かも」
俺は素直に頷く。
「泳ぎませんね…」
彼女はじぃ…と海亀を睨んでいる。
彼女はそれから数分間も海亀が泳ぐのを待っていた。
そして、水槽の前で俺と目が合うと、彼女は慌てて「すみません」と言い、次の水槽に移った。
「…水族館、好きなんだ」
俺は、大きい水槽の前のベンチに座りながら、ぽつりと漏らす。
「そうですね…何か、不思議な感じがしません?」
「海の神秘みたいなカンジ?」
「あ、そうかもしれません」