恋の忘れ物 ~先生と私の追憶~
「おいっ!世話が焼けるなぁ。」
私の携帯を持って人ごみの中を割って近付いてきたのは先生だった。
先生はそのまま私の手を引いて前を歩きだした。
ビックリしたのと安心した入り混じった感情。
次第に嬉しさで一杯で涙が溜まる。
困っている時に現れる私のスーパーマン。
頼もしくて優しくてドキドキしちゃうよ。
先生の手はあったかくて大きく包み込んでくれる。
私のかじかんだ手と心もあったかくしてくれるんだ。
まるでホッカイロだね。
「手冷たいな。」
先生がポツリ言った。
「ん?何?先生」
「いいや、何でもない。」
先生はそう言ったけど、
でも私聞こえてたんだよ。
「先生、ありがとう・・・」
先生の手をキュッと強く握りしめた。