恋の忘れ物 ~先生と私の追憶~


手を繋いだまま境内へと歩く。


幸せだった。

はぐれて良い事あったよ。


私達今ならカップルに見える?





「何願い事すんの?」


先生に聞かれて顔が赤くなる。


願い事・・・

それは先生にもっと近づけるように・・・

両想いなんてまだまだ遠すぎて神様も叶えられないし、今の私の気持ちを託すの。


そんな事先生には言えないよね。



「うん・・・早く大人になりたい・・・かな。」


「なんだそりゃ?」


先生は笑ったけど、それも本当の事。

先生になるべく近付ける為。

生徒先生の関係から男女として見て欲しいから。




「まぁ、大人なんてあっと言う間だよ。俺は出来る事なら学生に戻りたい。後悔した事をやり直したいなぁ。」


先生がこんな風に言うなんて意外だった。


「後悔したの?」

「したと思えばした。」


先生は先生だとずっと思っていたけど、先生も昔は学生だったし悩んだ事もあるよね。






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