恋の忘れ物 ~先生と私の追憶~

「それに比べて柴田は16だ。まだまだ考える事、やるべき事沢山勉強しなくちゃいけない。だから遅くなってからの後悔は辛いぞー。」


「先生、私まだ15だよ。」

そうまだ15歳。

「先生私の下の名前知ってる?」


「・・・小春だろ?」


「そう、小さい春って書くんだけど字の如くで春先に生まれたの。予定よりも2週間も遅くて結局生まれたのが3月31日。この時からのんびり屋だったんだ~。」


黙って先生は聞いていた。


「だから人より誕生日も、呼び順も遅くて嫌で早く大人になりたいって思ってた。今は別の意味で大人になりたいけどね・・・」


私何言ってるんだろう。

友達にも言った事なかったのに。





「そうでもないんじゃない?」


「えっ?」





「それって一足先に春が来たって事だろ? 一年で一番新しい季節の一番先に生まれたって事でいいんじゃね?」



先生は多分フォローとかじゃなく思った事を口にしたと思う。

そんな心が綺麗な先生他に見せたくない。

今は私だけの先生でいて・・・











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