恋の忘れ物 ~先生と私の追憶~


頭が混乱する。

何を考えて何を話していいか分からない。



「せっかく仲良くなったのに淋しいよ!この学校にはいられないの?」

莉子は食い下がらない。


「ああ、もう決まったんだ。俺も淋しいよ。」


先生の目は本当に淋しそうで。











「・・・分かりました。」



私の言葉に莉子は驚く。




もういいんだ。

しょうがない。



「今までありがとうございました。文化祭顧問の時もお世話になりました。次の学校行っても頑張ってください・・・」


軽く会釈をして先生と目を合わせる事無く体育準備室を後にした。


莉子も慌てて会釈し私の後を追いかけるようにして出ていく。







「待って!小春!!これでいいの!?」

莉子が私の前をふさぐ。



「・・・いいのって何が?だってしょうがないんでしょ!?関係ないからこれでいいの!!ほっといて!!」


興奮して声を荒げてしまった。



莉子の表情が一変した。


「はぁ?何それ?自分で何も動かない、しないで何が言えんの!?しかも心配して言ってんのに。こっちだってもういいよ!!」



莉子も興奮気味に言い一人でスタスタと歩きだした。


「ちょ・・・」


莉子を呼び止める事が出来ない。


我に返り莉子を怒らせてしまった罪悪感。




莉子の姿が見なくなるまで呆然と立ちすくんでいた。






























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