恋の忘れ物 ~先生と私の追憶~
「バカ。」
「バカでーす。」
「アホ。」
「はい、アホでーす。」
先生はふざけてる振りをする。
酷いよ先生。
「・・・」
私は鞄の中にある先生にあげようと思っていたお守りを出した。
先生は真顔でこっちを見る。
何も言ってくれないんだね。
もうどうなったっていいや。
最後に先生が口を開いた。
「ゆっくり大人になれよ。」
頭に血が昇った。
大人と子供の差を見せ付けるかの様に聞こえる。
「もうやめる!バカっ!」
持っていたお守りを先生の胸の辺りに投げつけた。
自然と涙がポロポロとこぼれる。
「・・・ック・・・」
もういい。
こんな先生忘れてやる。
こっちから願い下げだ。
肩から落ちた先生のスーツの上着も気にせずにそのまま走って体育準備室を出た。