LINK~繋がり合うもの~
昼間や明るい場所では、視力が0.2の萌黄だが夜間や暗い場所では、視力が2.0くらいに上がり、この世ならざるモノを映す…。
生まれながらの特異体質なので、今更何と言われてもどうもしない…。
4人はたまたま同じ文芸部に入り、たまたま怪事件に巻き込まれ、それ以来よくつるんでいる。 意識的に一緒にいる訳でなく、4人がそれぞれ自分の居場所を部室にしているので、結果的にいつも一緒にいてしまう…。
皆が萌黄の瞳を知ったのも、それが理由だ…。
時間が止まったかのように皆が静まった……。と、その時、ドアが開いた。
「…萌黄ぃ、遅いから迎えに来た…」
そこには、腰下まであるストレートロングの漆黒の髪と紅い瞳を持つ長身の少年が立っていた。
「朔夜か…今日は気になる話を聞いてな…どうかしたか?」
「…ハラ…喉渇いた…」
特に何も無いような冷静に答え萌黄に、少年 朔夜【さくや】 は甘えた声を出す。
「朝も時間がなかったからな…まだ時間はあるな。早くしろ…」
萌黄は漆黒の髪を右側によけ、左のうなじを出し、朔夜を呼ぶ。
彼は嬉しそうに彼女を抱きしめ、うなじに口を近づけた。
その口から見えるのは牙であり、その牙でうなじに噛み付くと、血を吸い、傷口を塞いだ。
「ごちそうさまぁ~。生き返ったぁ」
満足そうに萌黄を抱きしめたままで告げる。
「それなら、オレの手伝いをするんだな」
抱きつかれた体勢のまま、桜の木を見続けていた…。
「朔夜は見るたびに人らしくなっているといいますか、男らしくなっているという感じですね…萌黄と一緒にいるのに正反対な性格ですし…」