LINK~繋がり合うもの~
その沈黙を柳が破った。
「そういえば、萌ちゃん、風を操る力上がった?」「かわらないと思うが…柳が最近見ていないだけだろう」
眼鏡を押し上げ、平淡な声で返す。
「そーかなぁ?」
「違うょ、萌黄の能力が上がってるんだ…紫苑もそう」
突然の第三者の声に萌黄以外の3人は驚く。
「朔夜…何故ここにいる」 まだ、姿を見せていない朔夜を見て問い掛ける。
「昨日の今日で、心配だから来た。
あと、先刻のは本当だから…お世辞ぢゃないよ。萌黄はいつも一緒だから知ってたけど、紫苑のは少し驚いた」
紫苑は、その言葉に嬉しそうな表情をしたが、萌黄は複雑な気持ちでいた。
「柳、雲河叶のクラスはわかるか?」
「えーと、C組。1年C組だよ」
メモ帳をめくり、すぐに答える。
「その1年C組の名簿は手に入るか?」
「名簿?ちょっと待って、今調べるから」
部室に置いてあるPCで、生徒名簿を取り出す。「えーと、1C…は…あった!今、印刷する」
機械系全般を得意とする柳にとって、こんなのは朝メシ前のこと。

彼は、学校内の秘密事項まで取り出そうと思えば取り出せるのだ。

印刷し終わった1年C組の名簿を萌黄はじっと見続ける。
「それにしても、急にかわったゆーても、きっかけがあるやろ?」
「誰かに暗示などをかけられている場合もありますよ。
萌黄はどう思います?」
椅子に座り、脚をばたつかせる朽葉と、窓際に寄り掛かり立っている紫苑が萌黄を見る。
「朽葉や紫苑と同じ考えは持っている。
あの、雲河という少女には、あれだけの魔術を使えるだけの力量がない」
「あっ!だから昨日、即席で借物の能力っていったんだ!」
萌黄は、小さく頷いた。
「もっと詳しく言えば、あの娘【こ】には、あの娘の気配の魔力はゼロって言っていいくらいしかなくて、あの娘とは全く別の気配の魔力があの娘を取り巻いてた」
朔夜の言葉に一同は息を飲む。
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