夢見たものは




・・・・ガチャ





「・・・お姉ちゃん。」

「杏奈。お母さん達話してるの。部屋にいなさいっていったでしょ?」

「母さん、時間もないんだ。杏奈、入りなさい。」



杏奈は目を真っ赤にしていた。
きっと私が声を荒げたせいでほとんど聞こえていたのだろう。

私はこれから杏奈に知らされる事実を思うと声を出せなかった。
しかし、お父さんはさっきよりも淡々とその事実を告げていった。



「私、離れたくない!お母さんとお姉ちゃんと離れて暮らすなんていや!」

「杏奈、分かるだろう。お前は賢い。良い学校に入れてもやりたいし、金銭的にもこれからまだまだお金がかかるんだ。」

「私、高校なんて行かなくていいよ!中学卒業してから働く!だから・・・だからバラバラにしないで!!」

「杏奈、分って頂戴。だいたい、中学卒業してまともな働き口なんてないんだから。あなたはお父さんについて行った方が将来のためだわ。」



目茶目茶だと思った。
この大人たちは私たちのことを無視して、私たちのことを考えている。

私にも杏奈にも拒否権などないのだ。
この時間が早く終われば良いと思った。

子供って何て無力なんだろう。
ううん、自分ってなんて無力なんだろう。







「荷造り手伝うよ・・・。」

「お姉ちゃん・・・。」

「部屋行こう?話したいこともあるし。」

「・・・・うん。」





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