夢見たものは
次の日の朝、お父さんは杏奈をつれて、出発する支度をしていた。
「・・・杏奈。」
「お姉ちゃん、杏奈、待ってるからね!」
「うん・・・。頑張るんだよ!」
「約束!杏奈も頑張るから!」
「・・・杏奈、行くぞ。」
「はい・・・。お姉ちゃん、お母さん、またね!」
「・・・杏奈!約束するから!」
「杏奈・・・ごめんね・・。」
「お母さん・・・。大丈夫!杏奈、一生懸命勉強する!」
「・・・杏奈、時間だ。」
お父さんの背中は冷たかった。
杏奈は何度も振り返っては手を振っている。
私もそれに何度も答えた。
お母さんはうつむいていた。
お父さんが振りかえることは一度もなかった。
そして、お父さんと杏奈は見えなくなった。