夢見たものは
次の日、私達は転校の手続きをするために学校へ行った。
担任の先生はあっさりと事情と転校を受け入れてくれ、手続きはすんなり進んだ。
「急だなー、残念だが。ま、頑張れよ?」
「お世話になりました。」
「おう。それと、お前の転校する高校だが、この間の期末試験の成績の評価で、受け入れてもらえるそうだ。化学も頑張ってたしな。良かったな。」
「あ・・・ありがとうございます。」
化学と聞いて一瞬顔が引きつってしまったが、へらへらした笑顔で流した。
「一応、クラスメイトに挨拶するか?」
「え、あー・・・別に良いですよ。」
「なんだ、水臭いな。遠慮するな、俺の授業の時間を割いてやるから。」
「え・・・あー、はい。」
先生に半ば強引に連れられ、私は教室へ向かった。
正直言って教室には行きたくなかった。
正確には怜奈に会いたくなかった。
廊下を歩きながら私は、このままおばあちゃんの家に逃げられたらいいのに、今から逃げ出せないだろうかと何度も考えた。
しかし、教室が見え始めたところで覚悟を決めた。
どうせ、後にも先にも怜奈に会うのはこれで最後だ。
しかも、直接二人で会話をすることはもうないだろう。
怜奈は私があの7番のことに気付いてないと思っているのだし。
ならば、さよならぐらい言ってしまっても問題ない、むしろ自然だと思った。
ガラガラガラ・・・
先生が席に教室に入っていく。
「今日は先に残念な知らせがある。入れ。」