夢見たものは
ガラガラガラ・・・
「今日は皆さんに新しいお友達を紹介します。長瀬さん入って?」
「家の事情で転校してきました。長瀬陽菜です。よろしくお願いします。」
新しいお友達って、小学生みたいなフレーズにちょっと面喰ってしまったが、自分の何とも味気ない自己紹介にもガッカリしてしまった。
クラスを見まわしてみると、前後2列、横6列で、広い教室の前半分に生徒が密集しているような印象を受けた。
「あ、あたし、明石美奈っていいます。みんなにはミナって呼ばれてるから、陽菜ちゃんも遠慮なくそう呼んでね!」
いきなり前の列の真ん中に座ってる女の子が喋り出した。
あまりの突然のことにビックリして、一瞬何が起こったのか理解できなかった。
その目は好奇心のようなものでキラキラしている。
というより、このクラスは人数が少ないからってこんなに自由に発言できちゃうんだね・・・。
「あ、はい。よろしく・・・ね?」
そう言うと、彼女はニコリと笑った。
目が大きく、髪を2つ結びにしていて、いかにも元気ですっていう感じだ。
「じゃあ、長瀬さんは・・・、そうね~、一人だけ3列目ってのも可哀想だし、席替えしましょうか。」
望月先生の突然の提案により、席替えが急きょ始まった。
机は教室の前から5人4人4人と3列に並べられた。
それでも机は教室の前半分に密集している風景になった。
私は一番後ろの列の窓際から2番目になった。
といっても横には4人しか並ばないので教室のほぼ真ん中に机が密集してしまい、窓からは遠いのだが。
隣の窓際には男子が座っている。
これがまた中々のイケメンだったりする。
まじまじと見るのも不謹慎だろうと思い、私は話しかけることにした。
「あの、よろしくね。」
「・・・。」
イケメンはこっちを向いたが何も喋らない。
少しウェーブがかかっている髪は地毛だろうか、色も若干薄い。
目の色も綺麗な茶色で、私はついつい見とれてしまっていた。