夢見たものは
接近


それから何となく毎日は過ぎていく。
が、少人数だからか、前にいた学校とは違うことが多すぎた。

生徒は全員部活に入らないといけないというのも私を悩ませた。
しかも、その選択肢がまた少なかった。



「部活ってこれだけ?」

「そうだよー。あたしは植物部なんだ。」

「植物部?」

「学校の植物をお世話する部だよ。すっごい人気なんだ。」

「え、それって委員会とかがやるんじゃ?」

「委員会?何それ?んー・・・そんなものはない。」

「そんなものはないって、じゃぁ・・・生徒会はある?」

「生徒会?」

「生徒をまとめるような、行事とか仕切る人たちのこと・・・かな?」

「あぁ、あるよ!香華生徒運営部っていうんだけど、今はまぁ実質一人かな~。」

「一人!?!?たった一人なの!?」

「本当はね、学年ごとに男女最低一人出さなきゃなんだけど、人気ないから。」

「え!?そんな理由でたったひとりなわけ?」

「そうだよ。しかもその一人は間宮君。」

「ってか、前から思ってたけどこの学校さ、名前負けしてるよね・・・。」

「そんなことない!春にはね、花がたくさん咲いて、名前通り良い匂いが沢山してすっごいんだから!すっごいんだよ!そりゃもうすっごいんだから!」

「わっ、分かったよ。分かったから美奈、ちょっと落ち着いて。」

「あたし、植物部に命かけてるの!」

「ご、ごめん。」

「あ、いけないいけない体育だから移動しなきゃ。」

「ホントだ。急ごう!」





人数が少ないため、体育は二クラス合同で行われるらしい。
私と美奈は急いで更衣室に向かった。






「な・・・、何で更衣室だけピッカピカなの」

「最近建ったらしいからね。」

「その前は?」

「その前は美奈は入学してないよ。」

「あ、そっか。」





なんか、美奈と話していると調子狂う気がする。

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