夢見たものは





「・・・・ん?」



「あら、目覚めた?」


「・・おば・あちゃん?」

「あらあら、まだ、風邪は良くなってないみたいね。」

「いま、な・んじ?」

「もう夕方よ?音がしたと思ったら陽菜ちゃんが玄関で倒れてて、おばあちゃんびっくりしたわよ」

「ごめんね?」

「大丈夫、さぁ、おかゆ作ってくるから、ゆっくりしてなさい?お薬飲んで、また寝なきゃね?」

「うん。」




おばあちゃんの後ろ姿を見つめながら「ありがとう。」とつぶやいた。

何も聞いてこないのかな。

連絡もしないで、風邪引いた体で帰ってきたのに、何も聞かないでくれるおばあちゃんの優しさが嬉しかった。



それにしても、風邪の具合は相当悪いようだ。

頭はぼーっとするし、体は熱い。

たまに咳き込んでしまうし、重症かも。



でもそれも、今の私にはありがたい。

学校には2~3日行かずに済みそうだから。

あの教室であの2人に囲まれるのはもう嫌だ。




今度、望月先生に言ってみようかな・・・。

そう考えながら、私は寝がえりをうった。








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