ポケットにカッターナイフ
「あ、おはよう」
「おはよー」
教室の後ろで談笑する女子のグループの二人が返事を返してくれた。
彼女達のいつもと変わらない笑顔に安心しながら自分の席へ向かう。
「…あれ?机は…」
窓際の一番奥にある筈の暁の席までもが無くなっている。
シールなんかではへこたれなくなってしまった暁でもこれには流石に驚かされた。
『今日一日も平穏に』
そう祈った矢先に、また今日も暁の知らない所で古典的な嫌がらせが始まっていたらしい。
悲しみも悔しさも通り越し手口の幼稚さに呆れ果てた暁は深い溜息を吐く事しか出来なかった。