ポケットにカッターナイフ
2009/7/18
冷房の効いた涼しい部屋の中
窓際の机に座って一心にキーボードを叩いていた暁はふと手を止めて顔を上げた。
窓の外を見れば、眩しい位に太陽が輝いている。
あの日に良く似た暑さが今年も変わらずやってきた事を実感し、暁は目を細めて緩く微笑む。
彼女の机の隅に置かれたペン立てには少し錆びた赤いカッターナイフが立っていた。
プラスチックのつるりとしたカッターを手に取ると懐かしい蝉の声が聞こえる気がして、もうカッター本来の役割を果たさないそれを暁は大事そうに握り締めた。
カタン、と玄関から小さな音が立ったのはその時だった。
冷房の効いた涼しい部屋の中
窓際の机に座って一心にキーボードを叩いていた暁はふと手を止めて顔を上げた。
窓の外を見れば、眩しい位に太陽が輝いている。
あの日に良く似た暑さが今年も変わらずやってきた事を実感し、暁は目を細めて緩く微笑む。
彼女の机の隅に置かれたペン立てには少し錆びた赤いカッターナイフが立っていた。
プラスチックのつるりとしたカッターを手に取ると懐かしい蝉の声が聞こえる気がして、もうカッター本来の役割を果たさないそれを暁は大事そうに握り締めた。
カタン、と玄関から小さな音が立ったのはその時だった。