ポケットにカッターナイフ
2004/7/18

じぃじぃと忙しく響くのは聞き慣れた蝉の鳴き声

うだるような熱い陽射しの中で自転車を思いっ切り漕ぐと、次第に上がる速度に合わせて強くなる向かい風がブラウスに巻き込まれ、背中や項が汗ごと冷えていく。

2004年、季節は夏

暁にとって高校生活最後の夏休みが始まった。

自転車は籠の中の通学鞄をかたかた揺らし、渋滞の車を横目に颯爽と街路を走る。
夏の風をはためかせて疾走する心地よさを楽しみながら暁は一路学校へと急いだ。

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