夢みる蝶は遊飛する
「っていうか、あたしいまだにわからないんだけど」
「なにが?」
「どうして舞は、あんなに必死に亜美を入れようとしてたわけ?」
亜美の価値がどうとか言ってたけど、と訊かれたくなかった質問に、少しの間言葉が出てこなかった。
けれど、用意していた模範解答を、得意の笑顔とともに披露する。
「私、中学生のときバスケ部だったから。ここは人数が少ないから、経験者を入れたかったんじゃないかな」
「あー・・・、でも亜美は膝だったか腰がダメだからマネージャーってことね」
そう、とそのままの顔で頷く。
嘘は言っていない。
すべて真実。
少しだけ、ほんの少しだけ描写を省いただけで。