夢みる蝶は遊飛する

「っていうか、あたしいまだにわからないんだけど」

「なにが?」


「どうして舞は、あんなに必死に亜美を入れようとしてたわけ?」


亜美の価値がどうとか言ってたけど、と訊かれたくなかった質問に、少しの間言葉が出てこなかった。

けれど、用意していた模範解答を、得意の笑顔とともに披露する。


「私、中学生のときバスケ部だったから。ここは人数が少ないから、経験者を入れたかったんじゃないかな」

「あー・・・、でも亜美は膝だったか腰がダメだからマネージャーってことね」


そう、とそのままの顔で頷く。



嘘は言っていない。

すべて真実。


少しだけ、ほんの少しだけ描写を省いただけで。



< 102 / 681 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop