夢みる蝶は遊飛する
結局3時間ほどしか眠れなかった私は、寝不足で軋むように痛む頭を抱えて学校へ行った。
顔色が悪いと祖母には言われたけれど、もともとあまり血色がいい方ではないので、心配をかけないように家では明るく振る舞った。
私の在籍している2年2組の教室へは、1組の教室の前を通らなければ辿りつけない。
1組には、柏木さんや桜井くんがいる。
案の定、私がそこを通ったときに、柏木さんに声をかけられた。
「おはよっ、高橋さん」
元気はつらつ、といった様子の彼女を、朝から元気だなと思いながら、同じように挨拶をした。
「そういえば今日の部活、ミーティングなんだ。そこで高橋さんを紹介したいんだけど、今日の放課後大丈夫?」
「うん、行けるよ」
そう言えば私はバスケ部のマネージャーになると宣言したのだと、もやのかかったような思考の中でやっと思い出した。
睡眠が足りていないと、脳の働きが鈍くなるのは本当らしい。
普段は授業中でもどんな時でも、あまり眠気というものを感じない私だけれど、今日は目を開けているのが辛い。
半目になりそうなのをこらえながら柏木さんとの会話を進めていった。