夢みる蝶は遊飛する
そして。
ガラッと大きな音を立てて引き戸を開け、なだれ込んでくる男たち。
その数、ざっと二十数人だろうか。
少なくとも今この部屋の中にいる女子の人数よりは多い。
先頭に立つ男子生徒が、他の男子を一列に並べながら、憎たらしいほど満面の笑みを浮かべてこちらを見た。
その隣の人は、青い顔をしているというのに。
なんて対照的なのだろう。
「マネージャーさん、入部ありがとうございます! 男バス一同、心より感謝しております!」
敬礼をして高らかに宣言する、その男の名、桜井隼人。
そして、その横で気まずそうにちらちらと私の様子を窺っている男。
その人物はもちろん、須賀祐輝だった。