夢みる蝶は遊飛する
「どういうことか、説明してもらってもいいかな」
巻き込まれてしまって哀れにも身を縮こめている彼に、極力優しく問いかける。
先ほど桜井くんに訪ねた時と同じ言葉だけれど、棘をできるだけ抜いて。
「あ、あああああのっ!
ごめんっていうか、あの、女子だけじゃ、えっと、隼人が、あのっ、バスケ部だからって・・・」
なにが言いたいのか、さっぱりわからない。
ここまで支離滅裂という言葉を体現する人を、私は初めて見た。
「落ち着いて? 怒ってないから・・・須賀くんには」
だからといって桜井くんにそこまで怒っているわけでもない。
けれど、あまり短気な人間だとは思われたくない。
いつも優しい笑みをたたえている須賀くんには、思われたくない。
「高橋さん・・・あの時、バスケ部に入るって言ったじゃん? で、あの、隼人が・・・あの、その・・・。バスケ部の中には男子も女子も含まれるって言い張って。だから高橋さんは男バスのマネージャーでもあるって・・・」