夢みる蝶は遊飛する
「えっ、じゃあ高橋さんってさ、もしかしてめちゃくちゃ頭良かったりする?」
やはりこの学校と前の学校とは、学力の差がそれなりにあるらしい。
前の学校では、一度だって成績が優れていると評されたことはない。
あまり過去のことは話したくないけれど、誤解されるのは困る。
私は少しだけ、前の学校でいかに勉強が出来なかったかを話した。
あまり信じてなかったようだけれど。
そして聞かれてしまった。
前は何という高校に通っていたのか、と。
須賀くんはバスケ部だと、さっき聞いたばかりだ。
バスケの世界では私が前に通っていた学校はとても有名で、誰もが知っている。
もしかしたら彼は、私の関係する事実を知っているかもしれない。
この手で確かに掴んだ輝かしい栄光。
一瞬で地獄に突き落とされた、触れられたくない過去。
本当ならば、ここにいるはずのない私。
本当ならば、私は今も―――・・・