夢みる蝶は遊飛する
「わかりました。部活には明日から参加するので、よろしくお願いします」
苦笑をこらえて、冷静に言った。
「アタシはほとんど行かないからぁ、まあよろしくねぇ」
そう言って長い爪が生えている手を振っていた。
一度礼をしてから、職員室を出た。
我ながら完璧なポーカーフェイスだったと自賛したい。
「いやー、高橋さんすごいね! マダムを見て笑わないなんて」
桜井くんが口元をひきつらせながら言う。
かなり笑うのをこらえていたらしい。
他の二人も同じような顔をしていた。
「できることなら笑いたかったけどね。あんなに派手な先生っているのね」
今になって笑いがこみあげてきた。
個人の趣味や嗜好は大事にしなければならない。
それはわかっているけれど、山田先生は私の予想を遥かに凌駕していた。