夢みる蝶は遊飛する

次に、部室に案内してもらった。


クラブハウス棟という名の、小さなアパートのようにも見える二階建ての建物。

体育館の横に位置している。

女子バスケ部の部室は1階の奥、男子バスケ部は2階の階段をあがってすぐだった。



女子の部室は男子禁制ということなので、須賀くんたちには先に自分たちの部室に行っていてもらった。


傷だらけで歪んだアルミのような扉を開けると、まず目に入るのはクリーム色のカーテン。

無機質なコンクリートの床にはレジャーシートが何枚も敷かれていて、カラフルなそれが楽しげな雰囲気を醸し出している。

物は多いけれどきちんと整頓されているようで、雑然とした雰囲気は感じられない。

甘い制汗剤の匂いが染みついてはいるけれど。



「救急箱とか部活の道具はここに置いてあるから。それからボールは体育館の中の倉庫に入ってる。見ればサイズですぐわかると思うけど、青いカゴに入ってるのが女子、黒いのが男子」


舞の説明に頷き、すべて聞き終えたところで部室を出た。

階段を上がり、男子の部室の扉を開けたところで、軽く目眩がした。

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