夢みる蝶は遊飛する
舞が声を張る。
「次、フリースロー! 5本入った人から休憩ね」
舞の声は、騒がしい体育館内でもよく通る。
もちろんそれも、書き記しておいた。
飲み物が男女ともに無くなっていないかチェックしながらも、部員を見る目は休めない。
何度打ってもラインをはみ出ている人を覚えておく。
フリースローラインから出ていることに自分で気づいていなくて、試合で指摘されて驚く人はけっこういるのだ。
早めに気づいて直さなければ、試合でのミスにつながる。
そうして見ていく中で、ひとり、気になる部員がいた。
ボールがリングに届かず、手の力を思いきり加えて全力で打っている。
大半の人が5本のフリースローを入れて休憩しているのに、彼女は私がボトルに水を追加しに行って戻ってきてからも、まだ打っていた。
相変わらず、ボールはリングに届いていない。
見かねて、声をかけた。