夢みる蝶は遊飛する

桜と柏


K駅南口、12時50分。

舞との約束の時間まで、あと10分。

私はスカートの裾の乱れを直してから、ペンキの剥げかけたベンチに腰掛けた。


こちらに越して来てから、休日に友達と会うのは二度目である。

一度目は、中間テストが終了した週末に、沙世と買い物に出かけた。


想像どおり、沙世の私服はお洒落だった。

沙世は持ち物から髪型まで、自分に似合うものを知っている。

たぶん、自分を磨く、ということをしっかりとしているのだろう。

沙世の、デニムのショートパンツから伸びた長い脚を思い出して、ため息をついた。

私と沙世の身長差は7cmだけれど、たぶん脚の長さの差はそれどころではないと思う。

脚の長さ云々を除いても、私よりも7cmも身長が高いというのは羨ましいことである。

162cmの私の身長は低い方ではないけれど、バスケ選手としては、身長は高いに越したことはない。

もうプレイヤーではないというのに、私はいつまでもそんなことを考えてしまう。

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