夢みる蝶は遊飛する
コールドスプレー1ダースやボールの空気入れも頼み、注文は終了した。
配送用の書類に必要事項を書き込み、店員に手渡す。
配達してもらう分の代金は多額になるので、配送された際に顧問を通して支払うことになった。
「じゃあ、よろしくお願いします」
頭を下げてカウンターを後にした。
「どこに何があるの・・・?」
続いて細々としたものを買おうと思ったのだけれど、私はここに来るのは初めてなので、この広さに圧倒されていた。
「メモ見せて」
手帳に挟んでおいたメモを取り出し、彼に渡す。
一瞬、私の手にほんの少し彼の指先が触れたことに、ひどく心が騒いだ。
胸騒ぎとは違う、なにか温かいざわめき。
それがなにを意味するのか、私はそれに思い至る前に、その気持ちを忘れるように努めた。