夢みる蝶は遊飛する

「テーピングは・・・あっちだったかな・・・・」


歩き出す彼の後ろを、黄色いプラスチックのカゴを持って着いていく。

程なくして、テーピングがずらりと陳列された棚の前へ到着した。


「12mm、19mm、38mm、それから・・・・」


上の方にある商品は、彼がとってくれた。

手を伸ばしてみても、私では大きな棚の上の方は届かなかった。

けれど置いてある脚立を使おうにも、スカートでは登りづらくて。

そんなさりげない気づかいからも、彼の優しさがにじみ出ているようだった。


「伸縮性のあるタイプは、どれがいい?」


3つの異なるパッケージのテープを彼に見せた。


「おっ! コレ確かすげぇいいやつじゃん! でも・・・うわ、やっぱ高いからムリだ」


一巻きで二千円以上するものを嬉しそうに眺めてから、彼は大袈裟にため息をついた。

ちなみに皇ヶ丘学園では、それを大量に使用していた。

そんなところからも、あの学校の特異さを感じることができる。

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